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プーランク/2本のクラリネットの為のソナタ

Sonate pour 2 Clarinettes (1918/1945)
Francis Poulenc (1899-1963)

2本のクラリネットの為のソナタ
フランシス・プーランク

 1917年、当時若干18歳だったプーランクは《黒人狂詩曲》"Rhapsodie nègre"初演の大成功にとってパリ楽壇に華々しく登場した。その翌年に《無窮動》"Trois mouvements perpétuels"、《四手の為のソナタ》、そしてこの《2本のクラリネットの為のソナタ》を作曲した(1945年に改訂)。シャルル・ケクラン Charls Koechlin に作曲を師事する以前の独学の時期であるが、既に明快、簡潔で時にアイロニックな彼のフランス的エスプリに満ちた音楽の特徴がはっきりと表出している。ジャン・コクトー Jean Cocteau は次のように評している。

「プーランクはスカルラッティやハイドンを手本にし、ソナタが簡潔なものであることを証明している。このソナタは静寂から出て、また静寂へと戻っていく。柱時計のカッコウのように。なんと感動的なアンダンテ。おしゃべりを終えた小鳥はモダンな木陰の箱の中で嘆くのだ。」
(アンリ・エル『プーランク』村田健司訳 春秋社 1993年 p.18)
 このソナタではB♭管とA管のクラリネットが用いられており、第1楽章 Presto は3部形式で5音音階によるオスティナートが特徴的である。第2楽章 Andante は16分音符の伴奏の上に内省的な旋律が奏される。第3楽章 Vif はアルペジオと軽妙な旋律を持つ小ロンドとなっている。全楽章を通じてクラリネットの多彩な音色が効果的に用いられている。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)

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2000年10月24日 14:57に投稿されたエントリーのページです。

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