2009年5月28日

コンポージアム2009

一世一代の大舞台、といってもよい演奏会が近づいてきました。

2009/05/28 19h開演
〈コンポージアム2009〉ヘルムート・ラッヘンマン オーケストラ作品展「協奏二題」
東京オペラシティコンサートホール.
全席指定:一般 3,000円 学生 1,000円

ヘルムート・ラッヘンマン,アカント~オーケストラを伴う独奏クラリネットのための音楽(1975/76)[日本初演]
ヘルムート・ラッヘンマン,ハルモニカ~独奏テューバを伴う大オーケストラのための音楽(1981/83)[日本初演]
飯森範親(Cond)、岡 静代(Cl)、橋本晋哉(Tu)、東京交響楽団

90名にも及ぶオーケストラ、演奏時間は30分近くになる大規模な曲だけに、中々演奏される機会に恵まれないこの曲、いわんや演奏するチャンスを頂けて大変幸運に思います。
パート譜を眺めるだけでも巨大な山のようなこの曲ですが、現在全力で立ち向かっています。
関連公演の室内楽武満徹作曲賞本選演奏会も要チェック。

いよいよ本番

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ここ何回か(珍しく)触れてきた「ハルモニカ」がいよいよ明日(というか今日)本番です。
この一週間、ラッヘンマンさんとリハーサルを重ねてきたのですが、とてもユーモアのある方で、色々な冗談で笑わせていただきました。それと関連しているかもしれませんが、先だってドイツ文化センターで行われた講演会の中でも、「『深刻でありながらも、常に朗らか』にという、ある意味矛盾した信念を抱きながら創作している。」と、興味深いことを仰っていました。
リハーサルのときも、「いつもちょっと微笑んでるくらいの気持ちで吹いてください、本当に笑ってたら吹けないだろうけど。」とアドヴァイスをいただきました。
明日お出でいただく方々にも、シリアスな音響世界ですが、楽しんで聴いて頂ける様、全力を尽くそうと思います。まだチケットありますよー。


2009年5月26日

「ハルモニカ覚書」その5:何故チューバなのか?

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「ハルモニカ」のリハーサルが東京オペラシティに場所を移して始まりました。
先だってラッヘンマンさんとの一対一のリハーサルのときに、ちょっとした質問をしました。
「何故チューバのコンチェルトなんて書いたんですか?」
結構自虐的な質問ですが、常日頃レパートリーに飢えている我々としては、何ゆえソロ楽器としてチューバを選んだのか、ちょっと不思議だったわけです。
お話では、今回も同じ演奏会で演奏される、クラリネットとオーケストラのための「アカント」が端緒だったとの事。この曲のオーケストラの中のチューバパートには、楽器の中でテキストを喋る、ちょっと特殊で、重要なパッセージが書かれています。初演のときにこのパートを受け持ったのが、リヒャルト・ナハツキさんで、それがとても効果的だったそうです。それをきっかけにチューバに興味を持ったラッヘンマンさんとナハツキさんの間に、じゃあチューバの曲も書いてよ、といったやり取りがあり、7年後の1983年に「ハルモニカ」の初演がナハツキさんの手によって行われました。

どこにきっかけが転がっているか判らない、面白いお話だと思います。

2009年5月21日

「ハルモニカ」覚書その4:ひみつ兵器

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今日からパート練習が始まっています。
曲の編成リストを眺めていると、「Klingelspiel (bell keyboard)」と指示がある、チェレスタ、ピアノ、オルガンの奏者が持ち替えで演奏する楽器が挙げられています。上の写真がその実物。下のキーボードを押すと、内蔵されている自転車のベルのようなものがモーターで鳴る仕組み。回転数を変えることが出来るので、音の密度が変えられます。おもちゃにしてはよく出来てますね。今回はこれを計3つ使うのですが、代替品が無いためとても貴重なものです。ファンシーな柄をしてますが、逆にそれ故、ある意味今回一番の存在感を放っています。

2009年5月19日

「ハルモニカ」覚書その3:ちょうちょ

2回にわたって曲へのイントロダクションを書いてきましたが、更に補足を。

前述したように、時として非常に混沌としたイメージのあるこの曲ですが、勿論のことこれは表現のための「手段」であって、「目的」ではありません。つまり、我々が既に知っている音楽に安直に留まることなく、必要であれば時にはそれを打ち壊し、新たな表現を求める、その一つの方法である、ということです。

しかしながら、この曲のある一部分ではこの主従関係が意図的に逆転している部分があります。

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2009年5月18日

「ハルモニカ」覚書その2:曲目解説その2


前エントリからの続きです。

「作曲の過程では、まずテューバの音響的な特性と演奏法がオーケストラ自身の音色と演奏法へと参照され、そうすることでオーケストラの様々な演奏法に更に展開された。ソリストのパートは作曲の最後の段階で、オーケストラパートが前述の過程を経て完成した後に付け加えられた。ソロパートの役割はソロ的役割であり、複合的な役割を果たす伴奏的役割でもあり、その間を行き来する。」

こちらに関しては少し補足を。

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2009年5月17日

「ハルモニカ」覚書その1:曲目解説その1


5/28に演奏する「ハルモニカ」ですが、別のエントリーでも書いたように、非常に大規模な作品であるため、一度聴いて全体を把握するのが難しいと感じる方もあるかもしれません。当日ご本人によるレクチャーが演奏前に行われるので、そういった心配はやや軽減されますが、前もって少し知っておきたい、という方のため(と、自分自身の覚書として)、現在入手がやや難しいのですが、CDのブックレットから意訳した形で、こちらに掲載します。


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2009年5月16日

墨田ぶらり下町音楽祭

先週になってしまいましたが、「墨田ぶらり下町音楽祭」という音楽祭に出演しました。

30分のステージをヴィオラの佐藤佳子さんと分け合って4回、結構暑かったです。
演奏した曲は
フランソワ・テュリエ「反逆」
オイスティン・ボーズヴィック「フヌッグ」
ポール・マッカートニー「ブラック・バード」
の三曲を入れ替えて。
写真は会場近くの道路のカエル。特に意味はないです。
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