2010年2月28日

Brio購入

brio.jpg金管楽器のアンブシュアのトレーニング用具Brio(ブリオ)を購入。詳細はリンク先を御覧下さい。ハイトーンやアンブシュアの安定度に関して問題を感じている人に対するサポート器具です。写真上部を唇で挟んで、言わば正しいアンブシュアのための定規のような感じで使います。このところ、アンブシュアのことでちょっと考えることがあったので試しています。
まだ5日ほどなので当然そんなに変わることはないですが、その内ここでレポートしようと思います。購入を考えられている方は、お店のサイト、或いはヤフオクや楽天からも可能です。

2010年2月26日

03/26、03/27の演奏会の記事がパイパーズに掲載

今月発売の管楽器専門月刊誌PIPERS [パイパーズ]3月号で、3月末に行われる2つの古楽器のコンサートを「古の金管楽器の生の音に触れる演奏会」という記事でご紹介頂きました。
アントネッロのファンサイトにも関連エントリがあがっています。

26日の「木のラッパ コルネットとセルパン ~くねくね珍管楽器~」は、珍妙なタイトルとは裏腹に持てる力の全てを出し尽くす感じのハードなプログラムになる模様。

変わって27日の「サクバットとその仲間たち」では、バルトロメオ・デ・セルマ Bartolomeo de Selmaのデュオ曲が予定されています。その他、金管アンサンブルでよく聴かれるスザートなどの曲を古楽器で、さらにオリジナルのアレンジで演奏する予定。

プログラムの詳細は追ってエントリをします。演奏会の詳細は「続きをよむ」から御覧下さい。


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2010年2月23日

セルパンの構え方諸々

その形も独特なセルパンですが、構え方にも色々と謎があります。
serpentiste_Amiens_A.jpg
これは19世紀のアミアン大聖堂のミサの様子を描いたものの一部ですが、ここではセルパン奏者は楽器を垂直に持っています。楽器の細部はよく分かりませんが、一般的にこのような場で用いられた楽器は「教会のセルパン Serpent d'église」と呼ばれる、キイの付いていないものです。


serpent vertical.jpg
これは僕が構えた時の写真。資料ではこのように立って構えている絵が多く残っているのですが、両手親指だけでホールドしなければならないので、結構難しいです。僕はストラップを使用することもあります。


serpent horizontal.jpg
こちらはロンドン・セルパン・トリオのメンバーとして、また古楽器製作としても有名だったクリストファー・モンクの写真。イギリスの楽器はこのように水平に構えます。指穴もそれに合わせて、両手ともに中指の指穴の位置が反対側になっています。また、このように構えると右手の持ち方が逆になるので、薬指と人差し指が逆になります。


Serpent-bonanni.jpg
さて、セルパンの構え方は今までお話した垂直或いは水平の構え方が一般的で、現在ではこれ以外の構え方はちょっと見たことがないのですが、左のフィリッポ・ボナーニによる版画 Gabinetto Armonico pieno d'Instromenti (Roma, 1723)の奏者は非常に変わった構え方をしています。楽器も独特な形ですが、構え方が左右逆というか、あらゆる意味で逆になっています。
これは推測の域をでないのですが、垂直の構え方はそのまま管をまっすぐにするとリコーダーの普通の構え方になるのに対して、こちらの構え方は(管をまっすぐにすると)右手が上になる、逆の構え方をしていることになります。セルパンもそのように右手左手逆に構えて吹くことがあったのかも知れません。最も、リコーダーと違って、逆向きに構える場合には、指穴の位置やクルークの長さが全然違うことになるため、それはそれで色々と辻褄が合わない事になるのですが(クルークがこのように極端に短い楽器は、現存はしています)。

まさかとは思いますが、この版画の画像自体左右逆だったりして。もしそうであれば、よけい訳判らないことになってしまいますが。
3/26に出演するセルパンの演奏会「木のラッパ 」の詳細は、「続きを読む」からどうぞ。

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2010年2月21日

The tuba in my life:file04.新曲到着

現代音楽をやっていて、最も幸福な瞬間の一つに、委嘱していた曲が出来上がって、それを送って頂いて初めて楽譜を眺めているとき、というやつがあります。委嘱をするということは、自分が是非この人の音楽を自分の楽器で奏でてみたい、と強く熱望してお願いするわけなので、それが出来上がってくる時というのは、大変ドキドキしているわけです。例えて言うならば、憧れていたオーダーメイドの一張羅を遂に手にした感覚、というのが近いのかもしれません。
 もちろんオーダーメイドの服のように自分の身の丈に寸分違わずぴったりくる、と言うわけではなく、それよりも自分が(いい意味で)思っても見なかった楽譜の風景に出会うことの方が多いと思います。その風景を一番湯のようにたっぷりと独り占めして楽しんでから、「さあ大変だ~えらいことになった~」と練習に向かうことになります。

そんなわけで、今回委嘱していたチューバとピアノのデュオ曲を今日頂きました。知りうる限りで、チューバのために書かれた曲でこれほどに徹底して1/4音が導入されている曲はないと思います。
今度はお越しになるお客さんにこの楽譜の風景をきちんと見せられるよう、練習に励みます。

演奏会情報は「続きを読む」からどうぞ(曲目が少し追加してあります)。

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2010年2月19日

ドナトーニの金管楽器のための作品たち

来月の3月18日に、今年没後10年を迎えるフランコ・ドナトーニの日本初演となる作品を特集した演奏会に出演します。(リンク

そこで、折を見て色々と調べ物をしたり、資料を聴いたりしているのですが、ドナトーニには金管楽器のための作品が充実しているので、備忘録としてリストにしてここに書き出しておこうと思います。

ソロ、室内楽作品

Diario 76 per 4 trombe e 4 tromboni (1976)
Feria per 5 flauti, 5 trombe e organo (1982)
Short per tromba in Do (1988)
Jay per pianoforte, 2 trombe, 3 corni e 2 tromboni (1992)
Scaglie per trombone (1992)
Luci II per fagotto e corno (1996)
Till per corno (1996)
Che per tuba (1997)

ソロについてはトランペット、トロンボーン、ホルン、チューバそれぞれに書いており、ホルンとファゴットのソロ、金管アンサンブル+鍵盤楽器など、室内楽の曲数も編成もなかなか充実しています。3/18にはチューバのための"Che"を演奏します。

また、もう少し大きな編成の中でも金管楽器をフューチャーしたような作品が見受けられます。
トロンボーンとビックバンドの曲など、機会があれば是非聴いてみたいです。初期から中期にかけて大編成、アンサンブルの編成が多く、それが後期に入ってソロや室内楽へと変遷していくのも興味深いところ。

Concertino per 2 corni, 2 trombe, 2 tromboni, 4 timpani e archi (1952)
Diario '83 per 4 trombe, 4 tromboni e orchestra (1983)
Sweet Basil per trombone e big band (1993)

2010年2月17日

The tuba in my life:file03.テキストからの離脱

「The tuba in my life」の続報です。先だってのエントリで「4つのキイ・ワード」をお知らせしたわけですが、その中の一つ「テキストからの離脱」のアイデアに沿った編曲を先日頂きました。
その名も「シューベルト超有名歌曲集」。
解説として頂いた文章を軸に、キイ・ワードとどのような関係にあるのかを、簡単にご紹介します。

歌曲を器楽用に編曲しようとするとき、ふつうはその美しい旋律をどう活かそうかとか、テキストとの関わりをどうしようかとか、少なくともおかしく聞こえないように辻褄を合わせようという処理になると思う。しかしながら、そもそも優れた歌曲とはテキストに依存しなくても成立するもの。純粋な器楽曲として、チューバ専用の音楽として新たにシューベルトの三つの歌曲を生まれ変わらせる。

頂いた楽譜を眺めると、種々の特殊奏法も含んだチューバのパートは、従来のような歌のパートのみならず、本来では伴奏型であったパートも含めて再構成されています。このパート譜だけでは、おそらくこれがあのシューベルトのリートであることは判らないかもしれません。しかしながらピアノを含めた全体としてはまごう事無くシューベルト。そして同時にチューバとピアノのための新しい曲でもある。
今回題材となった曲は以下の本当に「超」有名な3曲。中学生の時に習ったあのテキストからどう離脱するのか?乞うご期待。

1.糸を紡ぐグレートヒェン
2.菩提樹
3.野薔薇

コンサート日時、場所の詳細は「続き」からどうぞ。

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2010年2月15日

シェルフエクステンダー


折りたたみ式の譜面台って、楽譜を載せるところのスペースはそこそこあるくせに、楽譜がすぐにずり落ちたりして練習意欲が激しく萎えることってありませんか?今日たまたま通りかかった楽器店で偶然上記リンクの商品に遭遇。ウィットナーの「シェルフエクステンダー」という製品で、ウィットナーの折りたたみ式の譜面台に取り付けて、厚い楽譜や小型のチューナーが載せられるようにするアタッチメントです。


P1000276.JPG表部分。このように一見普通の板に見えます。カラーは黒かグレーの2種類。


P1000277.JPGこれは裏から見たところ。半円状に見える部分で本体に挟み込み接続します。


P1000278.JPG接続したところ。見たところ、他社の同じタイプの譜面台でも接続出来そうではあります(自己責任)。


P1000279.JPG厚さが増しました。これならば厚い楽譜もOK、また写真のような滑り落ちやすい薄いパート譜を重ねても問題なし、チューナーも楽勝です。

2010年2月14日

The tuba in my life:file02.微分音程

 前回山本さんから提示していただいたキイ・ワードに基づいて、現在少しずつ曲が決定し、完成していっています。その中には古典からの編曲ものがかなりの数含まれることになりそうなのですが、前日、山本さんより完成した一部の編曲ものの楽譜を頂きました。
 今回頂いた曲は古典としては超有名な曲で、おそらくかなりの方がご存知の原曲ですが、色々と仕掛けが凝らしてあって、非常に面白い響きがしそうです。
 追々明らかになりますが、その中の一部に、微分音程(1/4音)が多用されるものがあります。チューバで演奏出来る微分音の理論と実際については、こちらをご覧いただくとして、未だに慣れないのは、記号で示されている1/4音同士の音程関係です。一つ目の音が1/4音高い記号がついていて、2つ目の音が1/4低い記号がついているとき、結局2つの音程関係ってどうなっているのか?瞬間的に把握することが出来ず、ついつい指を折って数えたり、体ごと斜めに平行移動したりして(意味不明)、四苦八苦することになります。
 これは単純に記号に慣れていないのか、それとももっと合理的で直感的な記号を作成出来るのか?
 いずれにせよ、これからしばらくは楽しめそうです(?)

 コンサート日時、場所の詳細は「続き」からどうぞ。

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2010年2月11日

プランジャー・ミュートの製作

mute6.JPG以前作ったチューバ用のプランジャー・ミュートを改良してみました。こちらが以前製作したプランジャー・ミュート。
大きめの料理用のボウルに皮の持ち手を付けています。


mute6.JPG内側はこのようにボウルのままで、吸音性に欠けていました。

mute6.JPGそこで、このような吸音材を用意して、テープで貼っていきます。
両面テープを用意したのですが、材質の関係から結局布テープを使用。


mute6.JPG一枚貼ったところ。


mute6.JPG取り敢えず底と側面、5枚貼って完成。

mute6.JPGこのような形で持って使います。
吸音性が増して、以前より使いやすくなりました。

2010年2月10日

The tuba in my life:file01.4つのキイ・ワード

またしばらく間が空いてしまいました。怒涛の3月が近づいて今からガクブルしている今日この頃。

3/30 "Le tuba rencontre..." vol.6 The tuba in my life の準備も少しずつ進んでいます。このブログでもその詳細を逐次お知らせしていく予定で、こちらの記事はカテゴリ「Le tuba rencontre...」で纏めて御覧頂けます。

さて、今日は新作を委嘱、そしてこの演奏会のプログラミングまで企画して頂いている、作曲家の山本裕之さんからご提案頂いた、今回の演奏会についての4つのキイ・ワード。

[テキストからの離脱]
[ポリフォニーの解体]
[舞曲の物質化]
[オブリガートの剥離]

ここからどういった曲が導き出されるのか?実はいくつかは既に進行中で、結構有名な曲もあったりなんだりで、いままでのこのシリーズのプログラミングとは一味も二味も違ったものになっています。普段は(当然のことですが)自分の演奏会は自分でプログラミングするわけですが、自然と好き嫌いや得手不得手を考えてしまうことも多く、コンセプチュアルなプログラムを作る際の障害になっていた事を今回思い知らされました。
こういった形で自分の演奏会のプログラムを他人に投げてしまう事については賛否両論あるかもしれませんが、レパートリーの確定していない楽器の魅力を探る上で、また、新たな演奏会の形を模索する上では面白い試みではないかと思います。

次回からそれぞれのキイ・ワードについて詳しく伺っていきます。
(なお、現在進行中の企画ですので、予告なく変更される可能性もあります点、御了承ください。)

コンサート日時、場所の詳細は「続き」からどうぞ。

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