2000年10月26日

シューマン/幻想小曲集 作品73

Fantasie-stücke op.73 (1849)
Robert Schumann (1810-1856)

幻想小曲集 作品73
ロベルト・シューマン

 シューマンには、《幻想小曲集》というタイトルをもつ曲が合計で3曲あるが(ピアノ独奏のための作品12、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための作品88)、この作品73は彼の創作において第2期にあたるドレスデン時代の後期、1849年にクラリネット(若しくはヴァイオリン、チェロ)とピアノのために作曲された。この年はシューマンの健康及び精神状態が大変良好な時期で、作品67から146に至る間の約20曲以上がこの年に作られている。また、彼の管楽器を用いた作品の代表的なものがこの年に作曲されているのも注目すべき点であろう(ホルンとピアノのための《アダージョとアレグロ》作品70、オーボエとピアノのための《3つのロマンス》作品94)。以上の作品群においては、各楽器の特性を捉えた個性的な表現が実現されているのと同時に、代用楽器による演奏も示唆されているのは興味深い事実である。《幻想小曲集》作品73は3曲からなっており、それらは続けて演奏されるよう、attaccaの指示がなされている。また3曲はそれぞれ個性的な性格づけがなされているものの、動機的には非常に密接した関連性をもっている。
第1曲 柔らかく表情をもって、イ短調、4/4拍子。
第2曲 生き生きと、軽快に、イ長調、4/4拍子。
第3曲 急速に、火のように、嬰ヘ短調、4/4拍子。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)