2011年6月 7日

ノーノ終演

nonogp.jpg昨日のノーノの演奏会にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。現代物に手を染めてから(?)というもの、「この曲だけはやっとかないと死に切れないリスト」の上位を常にキープしつつもなかなか機会がなかった「ドナウのための後-前-奏曲」を演奏するチャンスをいただけて、大変嬉しかったです。有馬さん、関係者の皆様、ありがとうございました。これからも再演に努めていきたいと思います(乞う演奏依頼!)。

nonosco.jpg一枚目の写真はゲネプロ時のセッティング、二枚目は譜めくりの関係から後半部分をメモ書きしたもの。文字情報にするとこれだけになってしまうのが逆に凄いですね。前半部分もそうなのですが、非常に複雑な音響でときに楽譜から逸脱するような解釈を孕みつつ、楽譜として書いたときにはこのようなシンプルな形をとらざるを得ない、それでいてはっきりとした作曲家の個性がみえるというのは面白いと思います。

2011年5月30日

ドナウへの遥かなる道

nono 楽譜現在6/5のノーノ作品の演奏会
向けて「ドナウのための後-前-奏曲」を鋭意練習中。何かとハードルが高く感じられる現代曲ですが、この曲に関してはちょっとした別の問題が。
 1.楽譜が高い。いつも安いので利用しているディ・アレッツォですが、ここでも強気の12500円(送料別)。泣きそうです。
 2.にも関わらず内容物が少ない。曲自体の内容は素晴らしいと思うのですが、この価格にしてインストラクションを含めA3サイズ5枚程度。ある意味衝動買いでないと購入ボタンが押せない。泣ける。
 3.解読するのに一苦労。写真にあるように、買ってきただけでは何のことやらさっぱり。インストラクションと解読譜を読んでようやくもとの殴り書きの意味に到達する。泣いている。

写真をご覧になってもさっぱりわからないと思いますが、これは第一部の自筆譜で、五線譜四段はそれぞれの演奏法、それを各色の矢印に沿って演奏、色の順番はランダム、色によって2種類のテンポが指定されています。後ろにあるのがこれをやや見やすくしたものですが、これを見ながら時間通りに直感的に即興と言うのはどう考えてもいい加減になりそうなので、一度きちんと楽譜に起こします。
現在起こした楽譜を基に練習して、これが手に入ったらより即興的になるように楽譜から離れるという、倒錯した状況が継続中。明日はエレクトロとの合わせ。

2010年8月12日

「ぶらぶらテューバ」楽譜出版

rambling tuba coverただ今来週から始まる「秋吉台の夏2010」の準備が佳境を迎えていますが、今から4年前にこの秋吉台で初演した湯浅譲二「ぶらぶらテューバ」が、ソニックアーツから出版されました。
出版に当たって、幾つかの音を変更なさったとのことなのですが、それがどこなのか、未だに見つけられない...。

2010年4月23日

Brio再レビュー

4月に入ってからと言うもの、この天候の不安定さにかまけてまたまたブログを放ったらかしにしてしまいました。
ということで、2月の終わりに購入をレビューしたアンブシュアのトレーニング用具Brio(ブリオ)のその後を少し書いておこうと思います。その時のエントリはこちら
brio.jpgその後2ヶ月間、断続的ですが使用してみました(言わずもがなのことですが、このレビューはあくまで私個人の感想であり、他の方の印象と異なる部分があるかも知れませんが、私個人の率直な感想ですので、その点お含みおき下さい)。
使用の方法は、主に練習開始前、休憩中、練習再開前といったタイミングでそれぞれ2,3分と、このブログを書いている最中のような書き物の時間に加え続けて5分、といったところ。ハイトーンの為のアンブシュアの筋肉を鍛える、といった観点を第一義に考えるのであれば、後者のような練習法で、もう少し系統立てて使う必要があるかも知れません。

この2ヶ月間のブリオを使った個人的な練習ポイントは、「発音の瞬間のアパチュアの矯正」といった点にあります。大変個人的な問題で恐らく多くの人には当て嵌らないことだと思うのですが、最近、どうも低音域を吹くためにアパチュアを大きく取りすぎていたのではないか、と思うようになりました。「口を大きく開ける」ということに意識が行き過ぎて、発音の際に無理な力が大きくかかり、よって不自由を感じるのではないか。これを一度、ミニマムの力で発音できる状態を作って再考してみては、と思ったわけです。

練習のポイントは、
1.(発音する音のイメージで)加えた状態で息を吐く。ここでは唇の筋肉の力のみで器具を保持。
2.ここから手で軽く支えてゆっくりと前方に引いていき、丁度離れた瞬間でバズィングが開始する状態を作り、それを覚える。
3.器具なしで再現してみる。
4.楽器で再現してみる。
(近いうちに画像を付け加えます)

こういったエクササイズを続けてみると、鳴りにくいと感じていた音域が、実は発音の瞬間を自分で力んでいたことが判りました。いくつかの音では、音量やアタックのコントロールが格段に楽になりました。

この時期同時にマウスピースのエクササイズも並行していたので、完全にこの器具を使ったエクササイズのみの効果と言う事は出来ないと思うのですが、テューバで言えばF管の中低音域(lowC付近)でどうも行き詰まっている場合には、或いはヒントになるかも知れません。

引き続きハイトーンも含めて使ってみて、またレビューしてみようと思います。


2010年3月31日

The tuba in my life:file10.プログラム&御礼

10/03/30先日"Le tuba rencontre..." vol. 6 を無事終えることが出来ました。寒いなか足を運んでくださった方々、ありがとうございました。
こういったコンセプトを主軸としたリサイタルは、2006/02/21 [B→C」、2008/01/26「テューバは語る」に続いて3回目でしたが、前2回が自分で構成した分ある程度結果の予想がついたのに対して、今回は良い意味で予想を裏切られることが多く、準備の段階では大変でしたが同時に楽しいものでした。

テクニカルな今後の問題としては、1/4音の運用についてもう少し突っ込んだ練習が必要であることを痛感しました。ちょっと放ったらかしになっているのですが、チューバの1/4音についてのメトードと自分のためにも書いてみようと思います。また近々youtubeに動画がアップされる予定です。

当日のプログラムをPDFファイルにて御覧いただけます。こちらをクリック。

この"The tuba in my life"という企画、非常に刺激的ですので、今後もまた他の作曲家を迎えて続けていこうと思います。

2010年3月20日

The tuba in my life:file06.オブリガートの剥離

さて、引き続き"le tuba rencontre..." vol. 6の情報です。以前のエントリで「4つのキイ・ワード」「テキストの離脱」お知らせしたわけですが、今回は「オブリガートの剥離」について。

モーツァルトより以前、そしてベートーヴェンの一部の曲では、「◯◯とピアノのためのソナタ」といえばピアノがメインとなり◯◯はオブリガート楽器だった。オブリガートにはオブリガートとしての書法があって、通常それだけを抜き出して演奏してもあまり魅力的ではない。
しかしチューバにとって、オブリガートパートはこの楽器の質感が強調され得る別の魅力を内包している。そこで「◯◯とピアノのためのソナタ」からオブリガートパートを引き剥がして聴いてみようというのが『オブリガートの剥離』の趣旨である。方法は非常に簡単。

今回はL.v.ベートーヴェンのソナタ ヘ長調Op.17 (1800)でこの試みを行います。この曲はホルンソナタとして知られ、ベートーヴェン自身によるチェロへの編曲版もしばしば演奏されますが、今回は、さて...。

今までのこのコンサートの関連記事はこちらから、またコンサート日時、場所の詳細は「続き」からどうぞ。

続きを読む "The tuba in my life:file06.オブリガートの剥離"

2010年3月19日

ドナトーニ「che」覚書

先日のeX.13「フランコ・ドナトーニの初演作品を集めて」@杉並公会堂にお越しいただきました方々、ありがとうございました。

ドナトーニのチューバソロは、その存在は10年くらい前から耳にはしていたのですが、実際に楽譜が手に入ったのは先年のことでした。今回念願叶って日本初演の機会をいただき、大変嬉しく思います。曲のデータを、今後のために備忘録として残しておきます。

フランコ・ドナトーニ(1927-2000) チューバ・ソロのための「チェ」(1997)

彼の作品リストの中では後期に当たるこの曲は、音楽学者のルイージ・ペスタロッツァ Luigi Pestalozza (1928-)の70歳を祝って作曲された(70歳を記念するアンソロジーに掲載されたとの話もあるが、未確認)。題名の「チェ」(che)はアルゼンチン生まれの革命家で、キューバのゲリラ指導者であったチェ・ゲバラに因んだものとのこと。彼の生年が1928年であることがいくらか関係しているかも知れない。
編成は無伴奏のチューバ・ソロで、ゆっくりとしたテンポの第一楽章、はやいテンポの第二楽章の2つからなる。曲中、sord.sucra(暗)、sord. chiara(明)の2つの音色のミュートの指定があるが、同じような例として、ジャチント・シェルシのチューバ(などの低音楽器)のためのソロ「マクノンガン」を挙げておくべきだろう。
第一楽章は極めて静的な楽章。中間部ではモチーフが大きく引き伸ばされる。前述のsord.sucraを装着後、トリルへと発展するフレーズが突如途切れて、「楽器を置くジェスチャーをするのだが、しかし...」という指示と、それに続く音符が示され、多少の演劇的要素が挿入される。
続く第二楽章は大きく分けて4つのセクションから成る。総じて低音域が支配的。第一楽章の終結部に引き続きsord.sucraのままで開始される第一セクションは単音から二音の半音下降グループで形成される。ミュートを外した第二セクションは第一セクションの下降音型が更に強調され、3種類のアーティキュレーションによってグルーピングされる。続く第三セクションは変わって上行音型のアルペジオ。第四セクションはこれまでのセクションが複合的に組み合わされる。終結部ではsord. chiaraが用いられ、デクレッシェンドして終わる。両楽章を通じて所々に「チェ」=「che(ド・シ・ミ)」の音名象徴が織り込まれている。

2010年2月19日

ドナトーニの金管楽器のための作品たち

来月の3月18日に、今年没後10年を迎えるフランコ・ドナトーニの日本初演となる作品を特集した演奏会に出演します。(リンク

そこで、折を見て色々と調べ物をしたり、資料を聴いたりしているのですが、ドナトーニには金管楽器のための作品が充実しているので、備忘録としてリストにしてここに書き出しておこうと思います。

ソロ、室内楽作品

Diario 76 per 4 trombe e 4 tromboni (1976)
Feria per 5 flauti, 5 trombe e organo (1982)
Short per tromba in Do (1988)
Jay per pianoforte, 2 trombe, 3 corni e 2 tromboni (1992)
Scaglie per trombone (1992)
Luci II per fagotto e corno (1996)
Till per corno (1996)
Che per tuba (1997)

ソロについてはトランペット、トロンボーン、ホルン、チューバそれぞれに書いており、ホルンとファゴットのソロ、金管アンサンブル+鍵盤楽器など、室内楽の曲数も編成もなかなか充実しています。3/18にはチューバのための"Che"を演奏します。

また、もう少し大きな編成の中でも金管楽器をフューチャーしたような作品が見受けられます。
トロンボーンとビックバンドの曲など、機会があれば是非聴いてみたいです。初期から中期にかけて大編成、アンサンブルの編成が多く、それが後期に入ってソロや室内楽へと変遷していくのも興味深いところ。

Concertino per 2 corni, 2 trombe, 2 tromboni, 4 timpani e archi (1952)
Diario '83 per 4 trombe, 4 tromboni e orchestra (1983)
Sweet Basil per trombone e big band (1993)