2000年10月 8日

クラフト/遭遇 II

Encounters II for tuba solo (1966)
William Kraft (1923-)

遭遇 II
ウィリアム・クラフト

 ウィリアム・クラフトは、作曲をヘンリー・ブラント Henry Brant、ヘンリー・カウエル Henry Cowell、オットー・ルーニング Otto Luening、ウラディミール・ウサチェフスキー Vladimir Ussachevsky等に師事すると共に、打楽器をモーリス・ゴールデンベルグ Morris Goldenberg、ソウル・グッドマン Soul Goodmanについて学んでいる。1955年から1981年にかけてはロサンジェルス交響楽団の打楽器奏者として活躍した。その傍ら、様々な現代音楽グループの音楽監督、指揮者を努め、作曲活動も積極的に行っている。
 この曲は1966年に作曲され、翌年カリフォルニアのパサデナにおけるエンカウンターズ・シリーズ・コンサートでロジャー・ボボ Roger Boboによって初演された。このコンサートは現代作曲家との音楽的”遭遇”の為に企画されたもので、カール・コーンが先の演奏会で作曲した《Encounters》に続くものとして《Encounters II》と名付けられた。この後も同じタイトルで数曲が作曲されている。曲はテーマと変奏の形で構成されており、5オクターブにわたる音域、ppppからFFFFまでのダイナミクス、レントからプレストまでのテンポの変化、重音、ハーフヴァルヴといった特殊奏法など、幅広い表現が用いられている。テューバの為の現代作品としては「古典的」なレパートリーとして位置付てよいだろう。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)