2000年10月24日

レイハ/フルートの為の四重奏曲「シンフォニコ」作品12

Sinfonico pour Quatuor de Flûtes op. 12
Antoine Reicha (1770-1836)

フルートの為の四重奏曲「シンフォニコ」作品12
アントニーン・レイハ

 レイハ(日本ではドイツ名のライヒャで呼ばれることも多い)はチェコ出身の作曲家であるが、後にフランスに帰化している。多作で知られ、19世紀初頭のパリでは理論家、教師としても活躍していた。現在24曲の管楽五重奏曲に代表される室内楽曲以外ではあまり注目されていないものの、当時の音楽界においては優れた理論書を著し、多くの影響を与えた人物であった。ベルリオーズはリスト、グノー、フランクは彼に師事している。
 彼は叔父のヨゼフ・レイハからヴァイオリン、ピアノ、フルートを学び、1785年から移り住んだボンに於いて、ベートーヴェンや宮廷オルガン奏者C. G. ネーフェらと共に叔父の指揮のもと宮廷楽団でヴァイオリンとフルートを演奏した。94年末にフランス軍がボンに進行した為、ハンブルグに移り、作曲活動に力を注ぐ。後1799年オペラでの成功を夢見てパリに赴くが、その前の数年間、1796年から98年にかけてブルンスウィック Brunswick において一連のフルートの為の室内楽曲(フルート四重奏曲4曲、三重奏曲1曲、二重奏曲4曲)が作曲されている。
 これらの諸作品は彼の作曲の早い時期のもので、ダレラック、グレトリ、叔父のヨゼフ・レイハや、マンハイムの作曲家、グルック、モーツァルト、ハイドンの影響が顕著である。作品番号12のこの曲もその例に漏れず、前述の作曲家たちの影響が見られる。典型的な4楽章構成。

1楽章 Allegro ニ長調 4/4拍子
第2楽章 Andante ト長調 6/8拍子
第3楽章 メヌエット Allegro vivace ト長調 3/4拍子
      (トリオはニ長調 2/4拍子)
第4楽章 フィナーレ Allegro vivace ニ長調 2/4拍子
なお、副題の「シンフォニコ」が作曲者自身によってつけられたものかどうかは、はっきりしない。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)