2000年10月24日

サン=サーンス/デンマークとロシアの歌による奇想曲

Caprice sur airs Danois et Russes op.79
Camille Saint-Saëns(1835-1921)

デンマークとロシアの歌による奇想曲作品79
カミーユ・サン=サーンス

 近代フランス音楽の基礎を形作ったサン=サーンスは、その長い音楽活動の中で(世代的にはベルリオーズ、リストからストラヴィンスキーまで重なることとなる)、ありとあらゆる分野に膨大な作品を残した。室内楽の作品も、管楽器とピアノのためのソナタをはじめとして数多く、長年フランスにおいて片隅に追いやられていたこの分野を復興させる先駆者となったと言えよう。
 フルート、オーボエ、クラリネット、ピアノという変わった編成によるこの《デンマークとロシアの歌による奇想曲》は、ピアニストとしても有名であった彼が、1887年ロシアに招かれた際に作曲されたもので、そのときのメンバーの編成に従っている。ロシアのほかにデンマークの旋律が引用されているのは、この曲を献呈されたロシアの皇后マリア・フョードロヴナがデンマークの王女だったことに由来する。それぞれの楽器特有の魅力がうまく引き出されている佳曲である。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)