2000年10月 8日

ラングレー/オルガンのための小組曲

Suite Brève pour orgue
Jean Langlais (1907-1991)

オルガンのための小組曲
ジャン・ラングレー

 ブルターニュ出身のジャン・ラングレーは2歳のときに失明し、10歳より国立盲学校に入学し、そこで音楽の基礎を学んだ。後にパリ音楽院でオルガンをマルセル・デュプレに、即興をシャルル・トゥルヌミールに、作曲をポール・デュカにそれぞれ師事した。(因に同時期の生徒にはオリヴィエ・メシアンなどがいた。)後にオルガン作品のみでも300を越える作曲活動や北アメリカのみでも300回に上る演奏活動、また聖クロティルド教会のオルガニストを長年務める等、精力的な音楽活動を展開した。この《小組曲》は4楽章から構成され、2楽章は1949年に、3、4楽章は1949年に作曲者自身によって初演されている(1楽章については不明)。またこの曲は彼が戦前発表したオルガンのための小品群と類似性が見られ、彼自身の語調、抑揚といった作曲語法は各楽章を通じてその音楽形式、レジストレーションによって前面に押し出されている。
I.Grands jeux(グラン・ジュ)
ハ長調の曲で終始3段の鍵盤とペダルのトゥッティによって奏されるマエストーソの部分と属調であるト長調のアレグロの部分、カデンツァの後再びマエストーソといった三部形式がとられている。
II.Cantilène(カンティレーヌ)
オーボエの定旋律で始まる嬰ヘ短調の世俗風の曲で、続くカノンの内声には巧みな変奏がおかれている。クライマックスでは手鍵盤とドッペルペダルによる5声のパッセージがイ短調で奏されるが、その中には嬰ヘ短調の定旋律が再び見られる。安らかなフルー管の響きによって、最後の柔らかな和音へと導かれる。
III.Plainte(プレント)
この曲の導入部は半音階的に始められ、抑制されたVoix humaineによって嘆きを表す。続いて特徴的な旋律がペダルと手鍵盤のダブルオクターブによって継続して歌われる。導入部の動機を再び挟んで、控えめなフルー管の音が先程の旋律に持続的な線として伴い、嬰ニ長調で締めくくられる。
IV.Dialogue sur Mixtures(ミクステュールによる対話)
2分の2拍子、ハ長調の激しいアレグロで始まる3部形式の曲である。複数鍵盤(本来はechoの鍵盤も含む)のアンサンブルだが、その大部分では基本的音色を用いた完全和音の並列が一続きで奏される。中間部は、Cornetのソロのレチタティーボ風な旋律がそれまでの勢いを止めるがごとく流れて、ゆったりとしたカデンツと共に終わる。そして再び冒頭部に移り、あいまいであった調性がfffのハ長調の和音に帰結され、この組曲を閉じている。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)