2000年10月 8日

ルンドクヴィスト/ランドスケイプ

Landskap (1978)
Torbjörn Lundquist (1920-)

ランドスケイプ(風景)
トゥルビョン・イヴァン・ルンドクヴィスト
 
トゥルビョン・イヴァン・ルンドクヴィストは1950年代の半ばから始められた作曲活動において、映画音楽や劇場音楽、歌曲やコラール、小編成の室内楽から大編成の管弦楽に至るまでの多くの種類の音楽を書いている。テューバと弦楽のための《ランドスケイプ(風景)》は国立演奏協会 National Institute for Concertsの委嘱作品で、1978年の春にミカエル・リン Michael Lindの独奏、オレブロ室内管弦楽団によって初演された。ルンドクヴィストはこの作品についてこう語っている。
「純粋にテクニックの点から言えば、私は我々がテューバについていつも連想するのとは違った可能性を表す機会を独奏者に与えたかった。テューバは速いパッセージには向かない、表現能力は全く無い、レガートはほとんどできない、歌うと言ったことに程遠い、等といったことが当然のこととされているが、私はこの事を否定したかった、そしてミカエル・リンがテューバをクラリネットの様に、より表情豊かに演奏する驚異的な能力を獲得することによってそれは可能になったのだ。」彼はスウェーデンの西海岸を訪問した際にこの作品のアイデアを得た。「しかしながら、これは風景画ではない。この曲名は寧ろ自然の中に存在している観念的な状態、或いは生態系のバランスがひっくりかえされる以前の風景に言及している。比喩的な意味合いにおいて、この曲は人間の感情的な『風景』の真相であるともいえる…。」
曲は2つのカデンツァを含み、彼の作風に共通している極北の地域や原初的なイメージを常に彷彿させる。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)