2000年10月 8日

マドセン/テューバとピアノの為のソナタ

Sonate for tuba og klaver op.34 (1980)
Trygve Madsen (1940-)

テューバとピアノの為のソナタ
トリグヴェ・マドセン

 トリグヴェ・マドセンはノルウェーの作曲家で、作曲をイョス・アルムグレン Johs Almgren、エギル・ホーヴラン Egil Hovland に、ピアノをイーヴァル・ヨハンセン Ivar Johnsen に学んだ。また、1969年から70年にかけてウィーンのアカデミーでも学んでいる。作曲分野はオペラ、交響曲、室内楽など多岐に及んでいる。作風としては主にプロコフィエフやショスタコーヴィチの影響を認めることが出来るが、彼のサクソフォーンソナタにおけるラヴェルの引用や、クラリネットソナタにおけるプーランクへのオマージュ、そしてピアノ協奏曲第1番についての彼自身の「演奏家と聴衆のための作品」、という彼の作曲姿勢は、この《テューバ・ソナタ》においても同様に当て嵌まると言えるだろう。初演は1980年にロジャー・ボボ Roger Bobo のテューバ、ゲイル・ヘニング・ブローテン Geir Henning Bråten のピアノによって行われた。
 曲は3楽章形式で、スケルツォ的な第2楽章を挟んでアレグロの第1、第3楽章が対称的に配置されている。第1楽章はシャコンヌの形式によって書かれており、第2、第3楽章はそれぞれショスタコーヴィチ、プロコフィエフの影響が強く見て取れる。各楽章の主題は4度音程とその転回である5度音程によって関係付けられている。第3楽章では第1,2楽章の主題が引用され、曲に統一感を与えている。
全楽章を通じて、半音階的進行による流れるような旋律線が特徴的である。

(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)