リヴィエ/グラーヴェとプレスト
Grave et Presto
Jean Rivier (1896-1987)
グラーヴェとプレスト
ジャン・リヴィエ
フランスの作曲家で教育者でもあったリヴィエは、パリ音楽院でオネゲルに学んだ。彼は、いわゆる革新的、前衛的といった表現には近づかず、寧ろフランスのエスプリ、といった伝統の中で、簡潔な響きで安定した構成と、対位法の明確さを軸とした様式を、とりわけ弦楽器を介して、自らの音楽語法とした。この点において、フランス六人組を継ぐ流れに位置付けられよう。
このサクソフォーン四重奏のための《グラーヴェとプレスト》は、マルセル・ミュール・サクソフォーン四重奏団にささげられている。彼らはこの分野での先駆的な存在で、当時の多くのフランスの作曲家達によってこの形態の作品が提供されている。曲名が示すように、グラーヴェとプレストの2部分からなり、点的、線的な要素が重視され、全体としてはっきりとした輪郭を保っている。プレストの部分の、強烈なアクセントを伴うアルペジオ、目まぐるしいスケールなどの華麗な動きは高い運動性能をもつこの楽器の特色をうまく活かしていると言える。サクソフォーン四重奏のレパートリーの中でも最も有名な曲の1つで、演奏される機会も多い。
(今までいろんな機会に書いた曲目解説。自分の演奏会のものの他、依頼された物も有りますので、テューバ以外の曲もあります。以前この類の情報を収集するのが結構面倒くさかったため、何かの役に立てばと思いここに掲載します。転載自由。)