2003年4月14日

Zoo Muzique(~4月6日)

 コンチェルトの後は一転して四月頭までテアトルの仕事。今回はジャック・ルボティエの「zoo muzique」というスペクタクル。20人くらいの音楽家、ダンサー、俳優、ジャグラー、作曲家がそれぞれ檻-といってもがちがちに出られなくなっているものじゃなくて、あくまで檻の様なもの-に入って決められた時間に演技-演奏する、というちょっと変わったもの。途中で演奏・演技するものは全て(全部で80曲!)彼が作曲したもので、大体においてテクストの入った、シアター的なものである。個人個人が持っている曲は大体4曲くらい、トータルで10分足らずなのだが、その曲間にやる動作もかなり細かく決められていて(例えば、眼鏡をかけるという動作を何種類ものテンポで正確にトレースする)、2時間あまりの間は全然ボーっとできない。
 檻同士の間隔は3メートルくらい離れて観客はその間を自由に行き来していて、本番中はずうっと孤独な作業になる。普通のコンサートと違って演奏の最中に前で人がうろうろしたり、話しかけてきたり(こちらは答えられない)、子供に群がられたりといつもと違った集中力が必要になってくる。おまけに今回はちょっと長めの17回公演だったので、その間の持久力が絶対条件でこれが個人的には結構きつかった。夜の公演だったので昼は自由にほかの仕事を入れたりしていたんだけれど、3週間劇場までの往復をしているとへとへとになってほかの事はあまり進まなかった。この期間に新しくC管を買ったんだけれど結局ほとんど吹かずじまいだった。
 個人的に難しかったのはやはりテクストの発音。北の地方の訛り、ベトナム系フランス人の訛り、古語などがあってしかもかなり早口なため、どうしても上手く発音できない単語があって、これは普通の現代曲のパッセージを練習するよりも苦労した。月並みな感想だけれども、これだけ言語の発音システムが違う民族の楽器の(特に金管楽器の)音に対する感覚というのは微妙なところで結構違うのかもしれない。
 なにはともあれ、結構疲れたなりに楽しい3週間だった。明日からまた同じ事やれと言われたらちょっときついけど。

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