2003年12月23日

2003年度上半期総括(2)懲りもせず入試

 9月はこちらでは年度始め。外国人には鬱陶しい季節。滞在許可証の更新がちょうどこの時期に当たることが多い。フランスでは3ヶ月を越えて滞在する場合には滞在許可証の申請が必要なのだが、学生、会社員等まっとうな(?)身分での滞在ならともかく(これでも十分に煩雑なのだけれど)、「どこにも所属しないで一発仕事の演奏だけでやってます」という不逞の輩にはそれに見合った滞在許可証が存在しない。フリーランスでもコンスタントに楽器を教えることが大きな割合を占める人の場合にはそれなりの方法があるらしいけれども、チューバじゃねぇ。。。とにかく色々とややこしくて、書き始めるとそれだけでひとつサイトができるくらいなのでここでは割愛。何はともあれ、今年もどこかで学生の身分を確保しておかないと仕事ができない、しかし確保すると忙しくて仕事ができないというもう訳わからない状況になるわけです。
 そんなこんなもあって、今年は去年まで在籍していたパリ国立高等音楽院第3課程の室内楽科をテューバ、ピアノデュオで受けることになったわけです。もちろん、結構厳しい現代音楽レパートリーをきちんと一緒にやっていけるピアニストとデュオを組めたことも大きな要因。

用意した曲は
NODAIRA, Ichiro / Arabesque V
HINDEMITH, Paul / Sonate
GLOBOKAR, Vinko / Juriritubaïoka
MADSEN, Trygve / Sonata
PIAZZOLLA, Astor / Michelangelo 70
KELLAWAY, Roger / The Westwood Song
ORTIZ, Diego / O felici occhi miei

かなり現代に偏っているけれど、最後のOrtizはセルパン、クラヴサンのルネサンスの曲(原曲はガンバ)。今回の目標は今までやった曲をもう一段階レヴェルアップさせること、それから短期間で2曲(GLOBOKAR、KELLAWAY)をきちんと音楽の部分まで仕上げること。
 練習ではこの夏東京で聞いたバーズヴィックの公開講座で紹介されていた「爪楊枝」を使った練習を取り入れる。これは単にマウスピースとマウスパイプの間に爪楊枝を挟んで空気を逃がすスペースを作る「簡易BERP」なのだけれど、振動のいくらかはそのまま楽器に入っていくので、前回の日誌の「頭の中の音程と唇の振動のラグ」を発見、矯正するのが非常に容易。お勧めの練習です。
 グロボカールは流石に本人がトロンボーン奏者だけのことはあって、演奏上の不可能な問題が全然なかったので、(苦労したけど)思いのほか早く仕上がった。ギリギリだったけど(じゃあ、間に合わない予定だったとかどうとかはこの際知らない振りしてください)。
 一次の試験でアラベスクを選んだのでこの曲の合わせがウェイトとして大きかったのだが、その甲斐あってかこれは今回一番上手くいったと思う。セルパンは他のプログラムに時間を取られたせいもあってあまり満足できなかった。この楽器はちょっとたまに使います、というレヴェルでは人前に出すのが至難の業であることを改めて痛感。もう少し準備に頭を使うべき。
 結果として合格できて一安心、だったんだけれどよく考えるとこれ以上レパートリーがないことが判明。これからの大きな課題。当面は上記のレパートリーをもっと深くしていくことに。

P.S. この他の学校のjazz科にも入学。しかしながら結局滞在許可証はひどい嫌がらせにあった挙句、11月初旬まで貰えなかった。

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