2003年12月26日

2003年度上半期総括(5)初演

 10月15日にテューバとライヴエレクトロニクスの新曲の初演。友人鈴木純明の「Le bourdon en branle」。初演の面白さ、と言うか醍醐味のひとつとして、もらった楽譜のコンセプトを作曲者本人と打ち合わせられること、そして場合によってはこちらからより効果的な方法を助言できることである。こういった場合、「楽譜どおりだと全く出来ない」、「長期的に練習すれば或いは出来るかもしれない」、「やや効果は劣るが他の方法がより確実である」という辺りの判断の落としどころが非常に難しい。今回はこちらのスケジュールの関係もあって、本当に本番直前まで色々とやっていた。
 エレクトロの部分は今回ペダルで踏んでプログラムをチェンジする方法を取ったので、100箇所以上あるポイントを間違いなく踏んでいくことも練習のひとつ。これは結構きつかった。
 テューバの部分の練習は今までの方法で特に付け加えたことはなかったのだが、今回ちょっと変わっていたのは、エレクトロの部分は初めての合わせまでどういったものになるのか見当がつかなかった部分。ある程度テューバのパートだけで構成を固めていたのだが、合わせてみると想像していたものとまるっきり違っていたので、そういった部分の面白さがあった。オケの曲の初演だとパート譜だけもらうことが多いのでこういったことはよくあるけれど、ソロだとあんまり無いですよね。
 追記。今回の曲は四半音がかなり多用されていたのだが、練習に当たってクラヴィノーヴァを導入。これを使うと四半音が容易に得られるので、耳で覚えていく時の効率が凄くあがる。四半音の指使いは練習法までサイトにアップしたにも拘らずサボっていたので結構梃子摺った。これも普通の音階と同じく、恒常的に練習しなければ。

 引き続き18日に学校の作曲科のクラスの卒業試験の演奏会。こちらは室内オケの3曲。いつも思うんだけれど、作曲科や指揮科の試験は何らかの形で演奏者の意見も拾うべきだと思う。確かに結果として出てきた音がよけりゃそれでいいのかもしれないけれど、中には楽器のことをまるきり知らなかったり、パート譜を書くときの約束事をまるきり無視したりしている人もいて、その辺りがきちんと出来ている人はそれなりにきちんと評価すべき。

P.S. タイトルの「ブルドン・アン・ブランル」。ブランルはスザートの曲などでもお馴染みの中世舞曲の一種の意の他に「震える、振動する」の意味がある。転じて、ええと、オナニーするという意味もあり(と言うかフランス人だとまずこちらが浮かぶらしい)。本番最中でも客席のオバチャン達がくすくす笑っていました。

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