2003年12月22日

2003年度上半期総括(1)秋吉台の夏2003

半年間も滞っていると最早なんの言い訳もなく、「日記」の体裁から大きく逸脱してしまっているけれど、ようやく更新三点セット(時間、パソコン、パスワード)が整ったので、大急ぎで8月以降のまとめ。
 今年で3回目の出演になる山口県秋吉台国際芸術村での現代音楽セミナー。今年は例年通り作曲者向けの楽器解説と野平一郎のアラベスク、ビュッケのvoix captives、即興の演奏。
 セミナー前に10日間程完全休養していたので、調子が戻ってくるのに少し時間がかかる。
 野平、ビュッケともに今回が初めての曲ではないので、全体を通しての細かい調整が焦点になるのだが、両曲ともテクニカル的には難曲なので確実性をつけるという事も大きな課題となる。
 結論から言うと、確実性の問題は今回満足できる程達成できなかった。「音を外す」という行為の中には、
A.頭の中で音程が正確に鳴っていない。
B.頭の中で鳴っている音程と実際に振動している唇の間に時間的にも音程的にもラグがある。
C.前者の要件がクリアされていても必要とされる息が何らかの原因で入っていない。
D.指とのコンビネーションが合っていない。
が含まれていると思うのだが、今回は特にA,Bの2つが大きな問題になっていたと思う。
特に重音奏法が多用されるVoix captivesにおいては、特に不協和音程における響きをきちんと記憶して前もって(その音が吹かれる前に)準備するということが必須条件。これが上手くできないと短9度の重音などは絶対にハマらないのでこの曲の肝である差音、加音の効果が期待できない。この曲は一応吹けるようにはなったけれど、一発聴いて面白さをきちんと伝えられるようになるにはもう一段階底上げする必要がある。
先ほどの「音を外す」という原因についてだが、逆に言うと上のポイントがクリアされていればどう考えても外すわけがないので、以上4件をもっと徹底する必要がある。まあ阿保みたいなロウトーン、ハイトーンは別だけど。
P.S.今年講師で来ていたトロンボーンのBarrie Webbさんとは色々と現代音楽における金管楽器について話せて楽しかったです。彼の演奏したGlobocar(Prestop II)とKrenek(Five pieces)も名演。

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