2004年2月 1日

マスタークラス:ロラン・ペズィエ

1月30日から2月2日(日誌の都合上1日に書いてます)まで、バスティーユ国立オペラのテューバ奏者ロラン・ペズィエ(Laurent Pezieres)のマスタークラス。初日は都合により参加できなかったのだけれど、残り2日、オーケストラスタディの講座(来月初旬に同じオケのもう一つのテューバの席のコンクールがある)。
 期間中に彼が一貫して強調していたのはスラーの扱い方。テクニック的(ハードウェア的)に文章にすれば、息の量、唇共にフレキシビリティに富んだ滑らかな動きが必要になる、という書き方になると思うんだけれども、そういった説明は一切せずにどういう風にフレーズを吹くべきなのか、どういうイメージを持つべきなのか、そういったことに力点を置いた説明だった。外から見ればなるほど先ほど挙げた条件が問題になってくるのだが、それを外からああしろこうしろ、というのではなく、音楽に直接結び付けている点は、先月の反省でちょっと書いたメンタルな部分の問題が大きく関わってくる点でとても面白かったし、感動した。
 それともう一つ個人的に興味深かったのは、彼の音楽観、音楽のスタイルというのが、(本人はどう思っているか知らないけれど)僕がこちらで初めて習った故フェルナン・ルロンによく似ていた点。現在フランス人の素晴らしいテューバ奏者は沢山挙げる事が出来るけれども、彼は良い意味でフランスのテューバの伝統を最も受け継いでいる人の一人だと思う。明るい音色、明確なアーティキュレーション、しっかり支えるけれど決して太すぎないフレーズのライン。
 彼が期間中に自分で例をみせて吹いてくれたのを聴く事が出来たのはとても嬉しかった。一聴は百見に如かず。