2010年2月23日

セルパンの構え方諸々

その形も独特なセルパンですが、構え方にも色々と謎があります。
serpentiste_Amiens_A.jpg
これは19世紀のアミアン大聖堂のミサの様子を描いたものの一部ですが、ここではセルパン奏者は楽器を垂直に持っています。楽器の細部はよく分かりませんが、一般的にこのような場で用いられた楽器は「教会のセルパン Serpent d'église」と呼ばれる、キイの付いていないものです。


serpent vertical.jpg
これは僕が構えた時の写真。資料ではこのように立って構えている絵が多く残っているのですが、両手親指だけでホールドしなければならないので、結構難しいです。僕はストラップを使用することもあります。


serpent horizontal.jpg
こちらはロンドン・セルパン・トリオのメンバーとして、また古楽器製作としても有名だったクリストファー・モンクの写真。イギリスの楽器はこのように水平に構えます。指穴もそれに合わせて、両手ともに中指の指穴の位置が反対側になっています。また、このように構えると右手の持ち方が逆になるので、薬指と人差し指が逆になります。


Serpent-bonanni.jpg
さて、セルパンの構え方は今までお話した垂直或いは水平の構え方が一般的で、現在ではこれ以外の構え方はちょっと見たことがないのですが、左のフィリッポ・ボナーニによる版画 Gabinetto Armonico pieno d'Instromenti (Roma, 1723)の奏者は非常に変わった構え方をしています。楽器も独特な形ですが、構え方が左右逆というか、あらゆる意味で逆になっています。
これは推測の域をでないのですが、垂直の構え方はそのまま管をまっすぐにするとリコーダーの普通の構え方になるのに対して、こちらの構え方は(管をまっすぐにすると)右手が上になる、逆の構え方をしていることになります。セルパンもそのように右手左手逆に構えて吹くことがあったのかも知れません。最も、リコーダーと違って、逆向きに構える場合には、指穴の位置やクルークの長さが全然違うことになるため、それはそれで色々と辻褄が合わない事になるのですが(クルークがこのように極端に短い楽器は、現存はしています)。

まさかとは思いますが、この版画の画像自体左右逆だったりして。もしそうであれば、よけい訳判らないことになってしまいますが。
3/26に出演するセルパンの演奏会「木のラッパ 」の詳細は、「続きを読む」からどうぞ。

木のラッパ コルネットとセルパン ~くねくね珍管楽器~
3/26(金)午後7時開演 近江楽堂@初台オペラシティ3F
入場料 ¥4500(全自由席)
濱田芳通(コルネット)、橋本晋哉(セルパン)、西山まりえ(バロック・ハープ)、矢野薫(オルガン) 
<チケットお取り扱い> アントネッロ・コンサート
03-5685-2725(月~土 10~18時)  anthonello.concert@gmail.com
●1月15日(金)よりチケット発売開始
●この公演のチケットは、イープラスからもご購入頂けます。
btn_buyticket.gif

コメントする