2010年3月21日

The tuba in my life:file07.ポリフォニーの解体

doublebelltuba.jpg3つめのキイ・ワード"ポリフォニーの解体"について。
左の写真は今回初登場、ダブルベルのテューバです。4番ロータリーを押すことでトロンボーンのベルに切り替わります。1~3番、5番と6番は普段どおり、音程を作るために使いますが、トロンボーンのベルに切り替わるときには随分とへっぽこのD管になっているため、フィンガリングが煩雑になっています。
このタイプの楽器は20世紀初頭にユーフォニアムなどでよく見られたもので、また、(当時の雑誌でしか確認していませんが、)20年ほど前にズジシスワフ・ピエルニクが来日したときにこのようなものを使っていたようですね。
この楽器を使ったのが次の曲。

マショー三態 Trois aspects de Guillaume de Machaut

ギョーム・ド・マショーの音楽は14世紀のアルス・ノヴァにおけるひとつの到達点といえる。ハーモニーの概念がない時代の絡み合ったパートはしかし、人間の耳には必ずしもそれぞれの線が分離して聞こえやすいとは限らない。『ポリフォニーの解体』では、テューバ(ダブルベル)とピアノで各パートを裁断し一旦マショーのポリフォニーを分解し、元の線にこだわらずに再構築した。もちろん原曲のポリフォニーは復元されるのだが、まるで様々な色や柄の布が切り離されて、隣同士と新しい脈絡を形作るパッチワークのように、それぞれのパートは楽器や音域に関わらず自由に飛び散ることになる。使用楽曲はつぎの通り。

1.ロンドー《薔薇よ、百合よ、春よ》 Rondeau "Roze, liz, printemps"
2.バラード《婦人よ、見ないで》 Ballade "Dame Ne regardes pas"
3.ダヴィデのホケトゥス Hoquets David



今までのこのコンサートの関連記事はこちらから、またコンサート日時、場所の詳細は「続き」からどうぞ。

20100330.jpg2010年03月30日(火) 19時開演(18時半開場)
@渋谷・公園通りクラシックス (渋谷駅ハチ公口徒歩7分)

《入場料》 当日¥3,000 前売り¥2,500 (1ドリンク付)
■ご予約・お問い合わせ■
Tel: 03-3464-2701公園通りクラシックス(17:00-22:00、月曜定休)
Mail : info@shinyahashimoto.net

J.S.バッハ, パルティータ イ短調BWV1013 (1720頃).
L.v.ベートーヴェン, ソナタ ヘ長調Op.17 (1800).
F.シューベルト=山本裕之, シューベルト超有名歌曲集 (2010).
G.マショー=山本裕之, マショー三態 (2010).
田中吉史, Aura di Bruno (2008).
山本裕之, 輪郭主義I (2010).

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